近現代史 講演会探報 第1回 ECAJTI 第3回シンポジウム

当会は国際舞台での歴史戦を文字通り最前線で闘ってきました。
日本、米国、国連等の舞台で、歴史の真実を求め、その真実を発信して来ました。

最前線で得て培われ磨かれた歴史観と、現在流布し広められている歴史観との比較をして、国際的にも受容される事実に基いた歴史観を醸成する為に、近現代史の講演会を探報し、記します。

第1回は、日本の真の独立を目指す有識者会議 (ECAJTI)が今月11月3日に行った第3回公開シンポジウムです。シンポの標題は:『終戦80周年 戦勝国史観を根底から覆す 戦後日本に着せられた汚名を雪ぐとき』で、基調講演者は渡辺惣樹氏と山下英次氏でした。

渡辺氏の掲題は、『新資料から見る日米戦争再考 真珠湾攻撃の真実』で、米国では歴史に名を借りた妄想扱いされている「ルーズベルト陰謀論」を、真実とするか、と期待しましたが、論拠とした同氏が翻訳した著書はフーバー元大統領が主で、それ等は従来ある状況証拠の補強であり、新しい発見は示されませんでした。

山下氏は掲題が3点ありました:『・第二次世界大戦は世界史最大のアイロニーか?』、『・二十世紀最大の愚行をおかした戦勝国アメリカ』、『・20世紀最大の偉業を成し遂げた敗戦国日本』。ルーズベルトが(陰謀ではなく)間違った、と主張しました。また同氏は直前の記者会見で、「もう『リメンバー・パールハーバー』とは言わせまい!その代わりに『リメンバー・ザ・ハルノート』と言うべし」と訴えました。
講演は掲題に従って、アイロニーであり、米国の愚行と日本の偉業を説明する内容でした。「汚名を雪ぐ」にはどうすべきなのか、その具体策の言及はありませんでした。米国人との歴史論戦をするのか? その為の発信は誰がするのか?(政府?民間?)と言った具体的な方策です。具体策がなければ、「汚名を雪ぐ」と言うだけの単なるプロパガンダであり、攘夷的なアジ演説になります。

会場からの「日本が戦争を決したハルノートのどの部分が悪かったのか?」の質問に対して、山下氏は「ハルノートは最後通牒だった、米国はそれを知って出した。」と返答しました。この回答は事実と異なります。ハルノートには「最後通牒」の文言はありません。日本側の要人は、交渉に当たった野村駐米大使・来栖大使を含めて米国側から最後通牒であると告げられませんでした。日本はハルノートを読んで日本自身で最後通牒と判断しました。何故日本側は最後通牒と理解したのか、ハルノートのどの文言がそう理解させたのか、同氏の答えは質問からは外れました。

両氏の主張が国際的に通用するか? 渡辺氏の主張は米国の従来の陰謀論の範疇です。今の米国の学会、政府等での見解からすると、米国では暴論扱いですが、通説に如何に切り込むかの言及は有りませんでした。
山下氏の主張では、日本にとっては間違いであったからこそ米国は勝者に成れたと反論され論戦にもなりません。勝者vs敗者、愚行vs偉業・間違いvs正義、と言った価値観と二項対立の単純な形で歴史を語りました。事実から導き出される真実が歴史の訓えです。

gahtjp-admin について

日米に拠点を置くNPO法人、 国連での特別協議資格を保持 歴史の真実を世界に求め、世界に発信し、史実の誤解によって起こる国際紛争の解決を訴える

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


*