国連人権理事会 UPR 傍聴報告

国連人権理事会傍聴報告
2017年11月17日

この11月にジュネーヴで、国連人権理事会の普遍的・定期的な国連参加各国審査が開かれ、GAHT からは細谷と目良が9日から14日までの会合のうち、スイス、韓国、ベニン、パキスタン、日本を対象とする審査会合に出席した。

人権委員会を前身とする人権理事会は、1948年になされた「世界人権宣言」に基づいて、行われ、各国において、基本的な人権が保障されているかどうかを審査するもので、今回のこの作業部会での結果を踏まえて、2018年3月予定の理事会で、審査結果が採択される。しかし、この「普遍的定期的各国審査」と称するものは、実は、すべての参加国に内政干渉を公的に行う機会を与えるもので、その結果は法的な拘束力を持たないのであるが、対象国にかなりの圧力をかけるものとなるので、はたしてこのような制度が好ましいものであるかどうかの議論も出てきてもおかしくないのである。

しかも、これらの会合においては大多数の国の意見が不思議と一致しているのである。彼らは一様に、死刑は廃止するべきである、結婚は18歳以下の男女には許されるべきではない、ゲイなどの性的な少数派の結婚が許されるべきであると主張し、どのような社会においてもこれらからの逸脱は、非難されるべきであるとするのである。

対象国の審査の時には、すべての国に発言の機会が与えられた。日本の場合には、110カ国の代表が発言して、意見を述べた。スイスやパキスタンに対しても、100近い国が意見を表明した。しかし、多くの意見は、どこかのNGOが表明した意見を検証することなく、表明したもので、当事国を戸惑わせるような発言が往々に見られた。例えば、日本に対して、「日本では子供をポルノの対象とした犯罪が横行している。根絶せよ」といった提言が複数の国からなされた。

このような会合に、日本政府は、30名ほどの各省の課長級の役人を派遣して、対応させたのである。日本政府は、的外れの批判に屈することはなかった。死刑廃止を提言した国々に対しては、「国内の民意を重視して、法制度を確立しているので、死刑廃止の見通しはないが、いろいろな可能性については、今後も注視していく。」といった回答を法務省の担当者が答えた。他の分野でも、無責任な提言にも、丁寧に日本の事情を説明し、反論した。

日本に対しては、予想通りに慰安婦問題が、韓国、北朝鮮と中国の三ヵ国から出された。韓国は、2015年の日韓合意のために持ち出すことは出来ないはずであるが、多くの国民が要求しているとして、そしてまた国連の報告書を支援に使って謝罪と補償金を求めた。北朝鮮や中国も同じような提言をし、中国は、日本が慰安婦を教科書から削除したことを批判した。

これらに対する日本政府の対応にも問題が残っている。政府は、1990年代から一貫して謝罪し、補償金を与えてきたことを述べると同時に、慰安婦については誤解が多く、「強制連行」はなかった、彼らは「性奴隷」ではなかったし、「20万人」という数字は過大であると明言した。このことは、誤解と解くために、必要な情報であった。しかし、政府は「一貫した謝罪と補償」を述べながら、他方では、慰安婦は軍に管理されていた風俗業参加者であったと主張するので、どうして政府が謝罪しなければならなかったのかが諸外国の人々には理解できないのである。したがって、謝罪無用論も他国からの理解を得にくいのである。日本政府は、潔く、以前の「河野談話」や「村山発言」は政府内における誤解に基づくものであったことを正直に認めるべきで、一貫性のある態度を取るべきである。

韓国に対しては、関心の度合いはあまり高くなかった。しかし、韓国人に対して、「親日」が罪になるというような人権に対する極めて大きな問題が取り上げられなかったことは、いかに国連の人権の調査が偏向していて、しかも掘り下げがないかをよく物語っている。

このような、信ぴょう性に欠ける審査を、大真面目に大掛かりで行う国連の人権理事会の行事をこのまま放置することは、資源を浪費するばかりではなく、世界の人々の生活にむしろ悪影響を与える可能性が多いと考えられる。日本政府も、他の国も、その廃止を含めてこの制度改善に向けて真剣に取り組むべき時期に来てると強く感じた。

GAHT 広報部

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日米に拠点を置くNPO法人、 国連での特別協議資格を保持 歴史の真実を世界に求め、世界に発信し、史実の誤解によって起こる国際紛争の解決を訴える

国連人権理事会 UPR 傍聴報告」への4件のフィードバック

  1. 2017年11月17日付国連人権理事会傍聴報告、読ませていただきました。
    「韓国に対しては、関心の度合いはあまり高くなかった。しかし、韓国人に対して、「親日」が罪になるというような人権に対する極めて大きな問題が取り上げられなかったことは、いかに国連の人権の調査が偏向していて、しかも掘り下げがないかをよく物語っている。」とあります。全く同感です。この点に関して、GAHT がNGOとして上記のような問題を指摘することはできないのでしょうか?あるいは日本国政府は、韓国内で反日教育が行われ、親日罪があること、日本の国旗や旭日旗が日常的に侮辱され、日本人差別が行われていることを非難し、改善を要求することはできないのでしょうか?是非、ご検討いただきますようお願い致します。

  2. >>>韓国人に対して、「親日」が罪になるというような人権に対する極めて大きな問題が取り上げられなかったことは、いかに国連の人権の調査が偏向していて、しかも掘り下げがないかをよく物語っている。

    上記↑こそが重要な問題だと思います。ある一国で別な国に対して好きだと言えば罪になり、もし、嫌いだと言えば罪になる、国挙げて同じ意見に統一すること自体、言論統制ではありませんか。中国の国内でも習近平氏を批判できない体制と韓国の親日有罪は同じレベルではありませんか。しかも、韓国は国民に選挙権がありながら、国民が選んだ大統領がローソクデモで追い出し、過去の韓国のほとんどの大統領の歴史は問題を作り、有罪ですね。こういうのを問題にするのが国連の仕事であってほしいです。

  3. 国連の人権委員会と言うのは、権威は振り回すが肝心な事はさっぱり解決出来ない金くい機関です。例えばヴェトナム戦争で韓国兵により強姦された少女から生まれたライダイハンが数万人もおり、世間の冷たい扱いに苦しんでいます。たまりかねて英国の人権団体が立ち上がりました。国連の人権委員会は何をしているんや。
    韓国では大学の先生が慰安婦の正確な情報にもずいて書いた書籍が出版され、日本の悪口を書かなかったと皆に批判されて裁判所で有罪判決が下された。こんなバカな判決を下す国の司法は全くの人権無視ではありませんか。
    思うに、この人権委員会と言うのは各国の2流の政治やの集まりで、汗をかいて現地で真実を調査するような真剣さや真面目さが全然感じられませんね。

  4. 現状の国連人権理事会はまるで、インターネット空間に無責任に書き込まれたすべての案件を取り上げているような感じがしました。人権云々するならば、曽野綾子氏が産経新聞2017年11月29日付にて述べてるように、人権の基本は「居住の安心」にしぼって少数民族の課題、移民問題等を取り上げるべきであり、現状は各国国民の要らぬ対立不信を助長するのみで、国連憲章の目的と原則にうたわれている「・人民の同権および自決の原則を尊重に基礎をおいて諸国間の友好関係を発展させること」に逆行していると思いました。

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