カリフォルニア州裁判所における裁判の現況【2015年8月21日】

 グレンデール市の慰安婦像の撤去を求める裁判は、最初米国の連邦地方裁判所に提訴して2014年の2月に始められた。訴因は、(1)地方自治体であるグレンデール市が、慰安婦問題という外交上の問題についてその立場を、慰安婦像を建立することによって表明することは、外交につての権限をすべて連邦政府に付与した米国の憲法に違反するということ(2)慰安婦像に付随している文字盤に記載されている文面は、市議会で承認されてないものであるので、それを公園に公示することは、市の条例に違反するということであった。この訴訟は同年の8月に連邦地方裁判所の担当判事であるアンダーソンが判決を下した。その判決は、(1)に関しては、原告の主張していることには直接に触れず、たとえそのような憲法違反があったとしても、原告にはそれを要求する資格がないとするものでした。そして、(2)に関しては、連邦裁判所の扱うべき事項ではないので、州の裁判所に提訴すべきであるというものでした。

 そこで、2014年9月に州の裁判所に提訴し、上記の(2)の他に、 (1)の憲法違反も加え、更に州の憲法で保障されたすべての住民が平等に保護されなければならないとする条項も入れました。これに対して、グレンデール側は、この訴訟は州法で決められている濫訴防止のためのアンタイ・スラップ動議を持ち出してきました。この法律は、名誉棄損などで個人が気軽に組織などを訴えて、経済的な負担をかけることを防止するために設けられたものですが、公共の利益のために行う訴訟などには、適応されないなどの例外があります。グレンデール市は、この動議を持ち出して対抗してきました。

 2015年2月23日に、リンフィールド判事の下で、ロスアンジェルスで公判が開かれました。この判事は、公判の直前に予備的な判決文を原告と被告に手渡す習慣があります。その判決文は以下の文章で始まります。
“There can be no legitimate dispute that the Japanese government engaged in a horrendous crimes against the Comfort Women prior to and during World War II. The United States House of Representatives – and even the Japanese government itself – has recognized these abuses.” 
(日本政府が、第二次世界大戦中及びそれ以前に慰安婦に対して残忍な犯罪を犯したことに対しては、その正当性を疑う余地は無い。米国の下院もそれを認知しているし、日本政府自体も認めている)

 このような、記述には深刻な問題があります。第一に、我々の訴えていることは、連邦政府が独占的に行う外交問題を市が関与するには、米国の憲法違反であるという訴訟に対して、その記述は全く関係のないことであるにも関わらず、判決内容にかなりの影響を及ぼす危険性があることです。悪人を助けようとしている者は、悪人に決まっているとする考えです。第二には、その判断がまったく訴訟自体に関係がないことであるにも関わらず、関係があるかのように振舞っていることです。

 法廷で我々の弁護士は、厳しく判事に迫りました。しかし、被告のアンタイ・スラップ動議が認められました。そして、我々がグレンデール側のこの件に関する弁護士費用を支払うこととなりました。支払い額は、8月25日の公判で決まります。

 しかし、これで我々は、撤退するわけにはいきません。この秋に始まる連邦裁判所での控訴もあります。更に、州の裁判所の決定には、大きな疑問がいくつかあります。そのために、我々は控訴します。リンフィールド判事の法律の適用に問題があります。更に、彼は明らかに偏向しているし、禁止されていることを行いました。判事は、原告と被告が提出する情報だけを基にして、判断すべきなのですが、彼は自ら調査を行いました。これらの材料を基に、州の上級裁判所に控訴して、戦いを続けます。

2015年8月21日

GAHT-US 
代表 目良 浩一