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日米に拠点を置くNPO法人、 国連での特別協議資格を保持 歴史の真実を世界に求め、世界に発信し、史実の誤解によって起こる国際紛争の解決を訴える

【緊急集会】慰安婦問題「日韓合意」と日本の前途

来る2月10日に『慰安婦問題「日韓合意」と日本の前途』と題して、緊急集会を開催いたします。
皆様、是非ご参加ください。


緊急集会

PDFファイルダウンロード:「日韓合意」緊急集会案内

【緊急集会】

慰安婦問題「日韓合意」と日本の前途

昨年の暮れ、慰安婦問題の「解決」のために突然になされた「日韓合意」。これは日韓両国のみならず、世界各国で大きなニュースとして取り上げられた。果たしてこの合意によって、慰安婦問題は本当に解決に向かうのか。国際社会はどう捉えているのか。「日韓合意」を徹底検証し、今後の日本がとるべき方針を緊急提言する。

日時:平成28年2月10日(水)13時開会(12時30分受付開始)

会場:参議院議員会館 1階講堂(東京メトロ永田町駅より徒歩3分、国会議事堂駅より徒歩8分、溜池山王駅より12分)

パネリスト:
西村幸祐(批評家・ジャーナリスト)
藤井厳喜(国際問題アナリスト)
藤岡信勝(拓殖大学客員教授)
松木國俊(朝鮮問題研究家)
目良浩一(GAHT代表)他
(ほか調整中・敬称略)

参加費:無料(事前申込不要)

*ご参加の方は、参議院議員会館の受付付近で集会スタッフが通行証をお渡しいたしますので、そちらまでお越し下さい。

<主催>
慰安婦の真実国民運動(代表:加瀬英明)
東京都文京区水道2-6-3-203 新しい歴史教科書をつくる会内
(電話)03-6912-0047
(FAX)03-6912-0048
(メール)ianfu-shinjitu@tsukurukai.com

日系新聞『The Rafu Shimpo』に英文記事掲載

ロサンゼルスの日系新聞『The Rafu Shimpo』に、2015年12月の日韓合意について:GAHTの見解が英文で掲載されました。

『The Rafu Shimpo』掲載ページはこちらから:http://www.rafu.com/2016/01/gaht-comfort-women-agreement-resolves-nothing/

以下、全文掲載:
GAHT: ‘COMFORT WOMEN’ AGREEMENT RESOLVES NOTHING

On Dec. 28, the foreign ministers of Japan and South Korea announced at a joint press conference that the two countries had reached a “historic” and “final” agreement on the “comfort women” problem. But what has been resolved by this agreement, and what issues remain? Our position is that nothing has been resolved.

Contrary to Foreign Minister Fumio Kishida’s proud statement about a final solution, the fact is that the South Korean side has not promised to do anything. The South Korean foreign minister, while watching progress on the Japanese side, stated that his country will strive for a number of things. On the other hand, Mr. Kishida declared a final agreement without imposing any conditions on South Korea. In terms of diplomatic ability, South Korea, remarkably, is superior. Japan has stated that it will contribute nearly a billion yen for former comfort women, while South Korea has not even mentioned making a contribution.

Moreover, this declaration was made at the press conference but has not been put into writing. There is a danger that the agreement will not be honored by the next administration.

First of all, the comfort women problem is an issue in which the South Korean side has been closing in on Japan. For Japan, the problem was resolved by the 1965 peace treaty with South Korea. For South Korea, the deterioration of bilateral relations has caused economic damage — fewer tourists from Japan, less investment, fewer imports, and so on. Even though the U.S. was calling on Japan to solve the problem, Japan was in a situation where it was not necessary to seek a solution. There was no need for our foreign minister to take the trouble to visit Seoul, and there was no need to acknowledge the many demands from South Korea.
However, the Japanese side made numerous blunders. First of all, the Japanese government, without legal basis, acknowledged involvement with comfort women during the war and expressed regret. Then, from a humanitarian standpoint, it announced that it was going to establish a fund for the women. These actions were completely unnecessary. We already have the Kono Statement, and sponsoring a fund constitutes proof that Japan has committed a crime. Thus, in the matter of the comfort women, the Japanese government becomes unable to claim innocence. For private citizens’ groups that claim comfort women were not sex slaves, it becomes an increasingly difficult road to travel.

To make matters worse, the South Korean side has not made any meaningful pledges. Although the government is saying that it will no longer bring up the issue, so far all of the actions related to comfort women have been initiated by organizations outside the government. The comfort woman statue outside the Japanese Embassy in Seoul was created by Teitaikyo (Korean Council for the Women Drafted for Military Sexual Slavery by Japan) and the one in Glendale was also built by a private organization, KAFC (Korean American Forum of California). The South Korean government has stated that it will make an effort to have those statues taken down, probably by writing a letter. However, the recipients of the letter have already it clear that they will ignore the request.

South Korea has said that it will not criticize Japan at the U.N. and other international forums, but it remains to be seen whether the designation of UNESCO world heritage sites related to the war will turn into criticism of Japan. Japan was in an advantageous position but surrendered all of its advantages, taken in by skillful South Korean diplomacy. Foreign Minister Kishida’s declaration will remain as a significant stain on the history of Japanese diplomacy.

「従軍慰安婦」問題は終わらない -WiLL 2015年12月号-

朝日新聞が慰安婦問題の誤報を認めたことで、国内的には「慰安婦問題には決着がついた」かのような空気がありますが、私の住むアメリカでは一切、そのような実感はありません。
むしろ慰安婦問題をめぐる歴史戦、情報戦はその激しさの度合いを増しています。

*昨年12月号の「Will」誌に掲載された目良代表の記事をご覧ください。
全ページをPDFでダウンロードする:Will 12月号(下記画像をクリックしてもご覧になれます)

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新年のご挨拶

GAHT から、新年のご挨拶

皆さん、明けましておめでとうございます。                    
ご健勝で新しい年をお迎えになったことと存じます。

GAHT一同、張り切って新年を迎えました。

今年は多くの課題が待ち受けています。我々の裁判について、春に連邦裁判所における控訴審が始まります。そして、秋には州の裁判所での控訴審が開かれる予定です。これらにおいて、成功するべく最善を尽くします。

旧年中には、ブラジル、サンパウロにも支援団体ができ、日系人の多くの団体が集まり支援をしてくれる事になりました。嬉しいことです。

そのほかに、カリフォルニア州の教育委員会に対する、世界史の教科書内容についての修正提案を1月から始めます。国連人権委員会に対する日本の状況についてのコメント提出は間もなく完了します。更に3月は、国連の女性の地位向上委員会へのイベントをニューヨークで開催します。サンフランシスコ市の慰安婦記念碑については、決定されたことですが、何らかの影響力を与える方法を模索しています。昨年末になされた日韓合意については、成果は期待していませんが、状況を注視します。

目良は個人的に、『マッカーサーの呪いから目覚めよ日本人!』を基にした英語の図書の出版を計画しています。

では皆さん今年もよろしくお願いいたします。  
共に協力して、より良き未来を切り開きましょう。

歴史の真実を求める世界連合会  
代表 目良浩一
会員 一同 

2015年12月の日韓合意について

2015年12月の日韓合意について:GAHTの見解

2015年12月28日

年末の12月28日に、日韓の外務大臣がソウルで共同記者会見を行い、二国が慰安婦問題について、「歴史的な」「最終的な」合意に達したと伝えた。問題はこの合意で、何が解決し、何が残されたであろうか。我々の見解は、「何も解決されなかった」とする立場である。

岸田外務大臣の誇らしげな、最終的な解決声明とは裏腹に、韓国側は、実質的に何も約束していないのである。韓国の外務大臣は、日本側の進捗を見守りながら、我々はいくつかのことについて努力すると声明した。いっぽうで、岸田氏は、そのような条件を全く付けずに、最終的に解決したと宣言したのである。外交上の手腕は、格段に韓国の方が上である。日本は、ほぼ10億円を拠出すると言明した。韓国は、拠出に言及すらしていない。しかもこの合意は、記者会見での声明だけで、文書化されていない。次期の政権には伝達されない危険性がある。

そもそも慰安婦問題は、韓国側が日本に迫ってきた問題である。日本側は、この問題は、1965年の日韓基本条約によってすべて解決済みであるとしてきた。韓国側は、日韓の関係の悪化により、経済的な被害を受けてきた。日本からの旅行者の減少、投資の減少、輸入の減少などである。たとえ、米国政府からの要請があったとしても、日本の方から解決を要請する必要はない状況であった。外務大臣がわざわざソウルを訪れる必要はなく、そして、韓国からのもろもろの要請を承認する必要はなかったのである。

しかしながら、日本側は、数多い失策をしてしまった。まず日本政府は、法的ではないが、終戦までの時期の慰安婦への関与を認め、謝意を表明した。そして人道的な立場からとは言え、政府の資金を提供することを言明した。これらは、全く不必要なことである。既に、河野談話があり、ましてや資金の提供は、罪を犯したことの証明になるのである。これで慰安婦について、日本政府は潔白を主張できなくなるのである。民間団体で行っている「慰安婦は性奴隷ではなかった」とする主張は、ますます困難な道のりを歩まなくてはならない。

更に悪いことは、韓国側から、何の意味のある誓約もとっていないのである。政府としてこの問題を蒸し返さないとは言っているのであるが、今までに行われた慰安婦に関する問題は、すべて政府外の団体によって起こされたのである。ソウルの日本大使館前の慰安婦像は挺対協によってなされた物で、グレンデールの慰安婦像も民間団体と称するKAFCによって、建立された。韓国政府は、それらの団体に対して、撤去するように努力をすると言明しているので、恐らく一枚の手紙ぐらいは書くであろう。しかし受領者は、既に言明しているように、それを無視することは明らかである。「国連等において日本を非難しない」とは言明しているが、ユネスコ記憶遺産に登録することが、非難になるかどうかは、明確にされてない。

即ち、日本は、有利な立場にありながら、有利な点をすべて放棄して、韓国の外交手腕に弄されたのである。この合意は、岸田外相の宣言に反して、日本外交史における顕著な汚点として残るであろう。

ブラジル日系協会、他諸団体がGAHT支援のチャリティー昼食会を開催

アメリカで慰安婦像撤去運動を行う、「歴史の真実を求める世界連合会」の目良浩一代表を支援するためのチャリティー昼食会が12月5日、聖市の在伯退役軍人協会で行われ、70人が参加した。ブラジル日本会議、日本研究者協会、ブラジル日系協会、パンアメリカンブラジル日系人協会の共催。

集まった支援者一同で記念写真
集まった支援者一同で記念写真

目良さん支援会に70人=「これからも続けたい」

詳しい記事は、『Jornal ニッケイ新聞』のウェブをご覧ください。
LINK: http://www.nikkeyshimbun.jp/2015/151215-61colonia.html

12月15日号のニッケイ新聞の掲載記事も合わせてご覧ください。
PDFファイルダウンロード:支援会12-15-15
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寄付金状況のご報告

皆様には、日頃より私共の活動にご理解とご協力をいただき、誠に有り難うございます。

簡単ではございますが、現在の寄付金状況のご報告をさせていただきます。

皆様方の温かいご支援に厚く御礼申し上げます。

今後とも皆様のお力添えのほど、よろしくお願い申し上げます。

GAHT-US CORP 事務局

Donations-thru-October-2015

サンフランシスコ市の慰安婦記念碑設置問題についての報告

サンフランシスコ市の慰安婦記念碑設置問題についての報告

2015年10月20日

歴史の真実を求める世界連合会 (GAHT) 代表 目良浩一

1.慰安婦碑設置決議の最初の提案

サンフランシスコ市が今年の7月21日に市議会で、慰安婦の記念碑を建てることを推進する(Urging the Establishment of a Memorial for “Comfort Women”)提案がなされるという情報を知ったのは、恐らくその一週間くらい前、同市に住む日本人からの連絡があり、助力を依頼された時からであった。ロスアンジェルス在住の同志に声をかけて、反対声明をするために市議会に出席することを提案した。反対する理由は、いつもと同じである。韓国や中国が主張する慰安婦説は、歴史の真実を伝えていないことが最初で、この記念碑は、日本の軍隊が残酷で、非人道的であるという印象を人々に与えるので、日本国および日本人の名誉を不当に傷つけるからである。しかも、多人種が協調して住まなければいけない米国の社会において、特定の人種を名指して非難することは、地域内の住民間の融合を妨げるので、当然なされるべきことではないと考えるのである。

この時点で知りえたことは、この提案は、総勢11人の市議会議員のうちの8人が、提案者になっていたことであり、この提案は、委員会での審議なしに本会議に提出されるので、全員一致の賛成を得なければ、採択されないということであった。提案者は、中国系のエリック・マー議員で、他の中国系の議員一人と韓国系議員二人が提案者に含まれていた。ここで注目すべきことは、提案者が韓国系ではなく、中国系であることである。サンフランシスコは、中国系の人口構成比率が2割程度と高く、彼らが、市議会で強い影響力を持っているようである。

2.我々の対応

同志に働きかけた結果、6人がロスアンジェルスから出かけていくことになった。午後2時に会議が始まるので、その前に、情報を提供してくれた方と市庁舎内で会い、他の反対声明予定者とも言葉を交わした。会議場内に入ると、聴衆はそれほど多くはなく、40人程度であった。他の議案があったので、慰安婦記念碑についての意見の発表は4時ころからになった。一人3分の時間が与えられて、希望者34人が発言した。市の事務局によるとこの件についての賛成者が15人で、反対意見を述べたのが、9人であった。他の発言者は別件につて陳述した。

ここで、提案者は、戦略を変えてきた。議員全体の賛成票は取れないと考えて、その場での採決を諦めて、委員会に審議を託し、そこで採決されたのちに、本会議に提出して、多数決で採択するという方針である。そこで、選ばれたのが、エリック・マー氏が議長を行っている「公共の安全と近隣サービス(Public Safety and Neighborhood Services)」委員会であった。この委員会は他に二人の議員が構成員となっているが、その3人は皆、8人の提案者に入っている議員であった。

3.9月17日の委員会決議

この7月の経験からして、提案者側は、慎重に準備をし始めたようである。8月は市議会は休暇のようで、「環境と近隣委員会」の開催は、9月であるという情報が流れてきた。更に、提案者側は、著名な元慰安婦、イ・ヨンス、を韓国から招いて証言させるという情報も流れてきた。一方、日本側は、サンフランシスコの姉妹都市である大阪市の市長、橋下徹、が反対の意思を表明した公開書簡を発信することが伝えられた。我々も、反対の意見を市議会に提出した。なでしこアクションも、日本の方々に、反対意見を送るように伝え、多数の反対意見や多くの方の署名が送られた。17日までに市に提出された反対署名は4411名に達した。

9月17日の数日前には、市議会事務所から当日の会議資料が一般公開された。各種の人々から送られてきた書類は、460ページ程になっていた。その中には、橋下徹大阪市長の書簡も、小山エミ氏の反対者に対する中傷文書も、私が送った慰安婦問題の国際政治的な意味合いを述べた文書も含まれていた。一方、市議会議員の見解は、ある筋によると7月の反対意見や、橋下氏の書簡などで、8人の提案者の一部が、迷っているとの情報も出てきた。しかし、決議を通すには6名の議員の賛成があれば充分である。決議を阻止するためには、3名の議員を翻意させなくてはならない。しかも、提案者以外の議員がすべて反対票を投じると仮定してのことである。その頃には、色々な情報が飛び交った。「歴史問題を出すべきではない。コミュニティーの分断を問題とすべきである。」、「ある議員が態度を検討中である。ある種の情報を流すべきである」などある。しかし、どの情報もその情報源を確定することが出来ない。17日寸前には、この件について詳細に報道してきた地元紙のサンフランシスコ・エグザミナーが、11人の議員のうち7名が提案を支持していると報道した。承認は確実だと考えられる。 
  
そこで、私のとった作戦は、提案者側にとって、最大の打撃を与えることにした。すなわち、その日の主要な発言者であるイ・ヨンスの発言の信憑性を疑うことである。既に彼女の発言に関しては、学術書に詳細に分析されている。その一つが、サンフランシスコ州立大学の人類学教授、C. サラ・ソー氏の慰安婦(The Comfort Women)と称する著書である。そこには、少女イ・ヨンスは、自ら進んで魅力的と思われる職を斡旋している者のところに行ったと書いてあるのである(p.98)。この点を公聴会で指摘することによって、この決議においては、成功しないかもしれないが、多くの人に現在の慰安婦問題がいかに歴史的な事実に違反している運動であるかを知らせることができると考えたのである。すなわち、長期的な視点からの戦略である。

当日、市庁舎に行き、議場に入った。本会議が行われたのと同じ部屋である。約二か月の準備期間があったのでかなりのサンフランシスコに住む日本人の参加が見られた。日本人女性でアメリカ人と結婚した人の中には、夫同伴で来て、御主人も反対意見を述べると述べている人もかなりいた。しかし、反対の声明をすると言っていた日本人の中には、「ことを荒立てないようにしてください。」という人もいた。一方、提案者側は、ユニフォームを用意していた。黒地に黄色で大きな蝶の図案を入れたTシャツを着用していた。聴衆の数は7月の時よりもかなり多い。出入りがあるので正確な数はつかみにくいが、100人程度であった。
午後2時に議事は開始された。議長のマー氏が長々と提案理由を述べ始めた。彼は、提案者であるから、議長をするべきではないのに、それには構わずに、長々と演説をする。中国系、韓国系に加えて、日系もこの提案に賛同しているという趣旨である。そこで気づいたことは、サンフランシスコにおける慰安婦碑設置の動きは、ロス近郊のグレンデール市における慰安婦像設置運動の延長であったことである。そこで主役であったKAFC のフィリス・キムがイ・ヨンスの介護役兼通訳として動き回り、グレンデールでも賛成演説をした日系のキャシー・マサオカも、主要な役割を与えられていた。

マー氏の趣旨説明の後に、元判事であったジュリー・タングが強烈に日本を批判し、元慰安婦のイ・ヨンスの発表があった。各自2分が与えられた時間であるはずであるのに、彼女は通訳つきではあるが、8分以上話した。勿論、慰安婦として苦痛を耐えてきたので、それを記念して慰安婦碑を建てることは、世界の平和に貢献することになるとの趣旨である。彼女の発言が終わると拍手喝采があった。イ氏は、それに対して頭の上に蝶の形を作って答礼をした。このような議事においては、拍手は禁じられるべきであるが、議長は何らの制止もしなかった。其れから、議長は中国系の人を数人招いて、賛成意見を述べさせた。

その後に、一般の人たちが意見を述べた。意見表明希望者は、前もってカードに記入して提出しておいたのであるが、マー議長が慎重に順番を決めながら、発表者の名前を呼んだ。10人目位に抗日世界連合会の執行副総裁のイグナシウス・ディンが発言した。彼は、安倍総理が4月にボストンを訪れた時に、「日本が戦時中に人身売買をしたことを認めた」と発言し、したがって、慰安婦碑を建てる事は、正当であると主張した。安倍総理としては、彼の発言は、日本国がしたとは言っていない。一般論として、人身売買があったことには、心が痛むと発言したのであると主張したのであろうが、一国の総理がそのような発言をした場合には、誰も一般論とは取らずに、日本国が犯したと解釈するのである。総理の発言を、彼は巧みに利用したのである。

それから数人後に、今村照美氏が発言した。地域社会の調和を阻害するような記念碑は建てるべきではなく、日本と韓国との間の紛争をこのアメリカの都市に持ち込む理由は全くないという趣旨の強烈な発言で、拍手がわいてきたが、議長は素早くそれを制止した。次が私の番であった。まず私は、通常言われている慰安婦の説が虚偽であることを述べた。すなわち、20万人は虚偽、強制連行は虚偽、性奴隷は虚偽と述べ、その一つとして、「今日ここで発言された元慰安婦の方は、以前の陳述では異なったことを述べています。」として、サラ・ソー教授の著書の中にある部分をわかりやすい形で引用した。マー議長は、「貴方は彼女がウソをついていると言っているのか」と私の発言を中断して、尋ねてきた。私は、「続けさせてください。」と答えた。マー氏は、「イ氏は、そんなことは言っていない。」と私の発言内容に介入してきた。私は「私は、彼女の発言を繰り返すつもりはありません。私は、この図書に書かれていることを述べているのです。この本を読んで下さい。」と答えて、引用を完了した。聴衆からは抑えられたブーイングと拍手が交錯した。その直後に、私の陳述の翻訳をフィリス・キムから聞いたイ氏が怒りの声を上げた。意味は解らないが、明らかに私を罵倒している言葉であった。議長のマー氏はそれを制止することはなかった。その後、二人の人が、サラ・ソー教授の本に記述されているイ氏の陳述と彼女のその日の陳述の相違について指摘をした。

3時間半くらいに亘る一般市民の発言のうち、46人が賛成意見を述べ、27人が反対意見を述べたと市の公式記録に書かれている。賛成意見を述べた人の多くは、蝶の模様のTシャツを着用した人で、前述のディン氏もそれを着用していた。賛成者の中には、日本名を名乗る日系人も含まれていて、中韓日の共同戦線を印象付けた。賛成の理由は、慰安婦は非人道的な扱いを受けた人たちで、これらの人を記念する碑を作ることによって、将来そのようなことが繰り返されないようになるとするもので、平和のための記念碑であると唱えていた。反対者の意見は、記念碑で日本だけを非難するのは不当であるとするものや、日本を非難することによって、コミュニティーを分断するのは好ましくないとするものから、いわゆる慰安婦説は虚偽であるとするものなど、いくつかの種類があった。

一般の聴衆からの発言を終わらせてから、議員が発言することになった時に、カンポス議員が行った発言は民主的な議事運営に反する極めて無礼な行為であった。彼は、イ氏の発言に対して疑問をはさんだ人たちに対して、怒りの声を上げた。「真実を否定する人は、恥を知れ」と四回叫んだのである。ここで「真実」とは、彼の信じる「真実」で、サラ・ソー教授が記述していることは、真実とは解されていないのである。公聴会とは、外部の人の意見を聞くための会合であり、たまたま、外部の者が彼に好ましくない意見を述べたと言って、発言者を「恥を知れ」と罵倒するのは、議会制民主主義のもとに行われる議事進行の原則に明らかに反する行為である。議長は、直ちにそれを制止して、彼を場外に退出させるべきであったが、カンポス議員は、マー議長を支援したのであるから、議長は制止もせずに、話したいだけ話させた。話した後に、カンポス議員は、イ氏がいるところまで歩いていき、抱擁して、頬にキスをして、「非難されてかわいそうである」と述べたのである。

その後に、投票があり、3人の議員は、提案に賛成の意思表示をし、可決された。

しかし、この日の会議について言えることは、以下のことである。

1)中韓側は、この日のために相当の準備をしていた。イ・ヨンスを韓国から招き、黒字に黄色の蝶の図案が入った制服を調達し、発表について相当の準備をし、支持を表明する人のそれぞれに何について話すべきかを用意し、英語が話せなくとも賛成意見を述べる人を多数用意していた。

2)議事の進行は明らかに、支持者に有利なように行われた。議長は、支持者には時間の制約を寛大にし、反対者には極めて厳しく制約を実施した。賛成者に対する拍手などは大目に見て、反対者に対するときには、厳しく制限した。しかも、反対者に対しては、私の場合の様に、発言を途中で制止することもあった。上に述べたように、議長は、イ氏の罵倒も制止せず、カンポス議員の異常な言動にも何の制止も行わなかった。

3)在サンフランシスコ日本総領事館からは、誰も会議に出席していなかった。領事館から情報提供のために出席を依頼されて出てきた人もなかった様である。この件については、同市に駐在している日本の通信社の人に確認している。

4.9月22日の本会議決議

委員会で承認されたこの決議案は、翌週22日の本会議に提出された。本会議では、かなりの反対意見が17日の公聴会で出されたことに鑑み、修正案が三回提出された。最初の二回の修正案は、原提案が専ら70年以上前の日本軍の悪行だけを責めるようになっているので、片手落ちであると考えられるので、現在の社会における人身売買と関連付けて、その社会的な意義を強調するものであり、第三の修正案は、戦時中の女性の人権の蹂躙は他の国においても行われていたことを認めるものであった。しかし、「そのことでもって、日本の犯した罪が軽減されるものではない」とする文言が付け加えられたのであるから日本に対する譴責は、依然として厳然として残ったのである。このような修正を経て、全員一致で承認された。したがって、反対派の意見によって、決議案は修正されたが、日本及び日本人の名誉を侵害する決議であることは、間違いない。

5.日本人反対運動者の感想

この慰安婦碑設置案に反対してきた人々に、22日の市の決定の後に意見を聞いてみた。次のような意見があった。

1)日本政府も日本総領事館も何の手助けもしてくれない。相手は、中国共産党を背後に持つ抗日世界連合会である。とても、個人個人の反対では、なんともしようの無い大きな力である。日本政府が出てきて来れば、何とか勝負になるかもしれないが、それがなければ、なんともならない。これ以上運動することは、無駄であると感じる。

2)サンフランシスコ市は、中国系の人口が多く、日本人は極めて少数である。しかも、この町は中国やメキシコのギャングが根を張っている。彼らは、法を無視して、悪事を働く。彼らは、金で動くので、中国系の組織に狙われたら、身に危険が迫る。殺人請負などは、通常のビジネスなので、これ以上に中国系の組織に反発することは、控えたい。

3)9月17日の公聴会で、カンポス議員やマー議員に罵られたことに、激しい怒りを感じている。他の人たちと一緒に、カンポス議員に謝罪を要求する手紙を書いたが、彼は返事を書いてよこして、謝罪する気は毛頭ないと言ってきた。何とかして、彼らに仕返しをしたいと考えている。しかし、具体的な方法が分からない。何とか研究して、彼らに謝罪させたい。

GAHT が依頼している弁護士によると、委員会におけるマー議員やカンポス議員の行動は、市の設定した議会の規則に抵触する可能性が高く、早急に裁判所に訴えれば、裁判所が17日の決定を暫定的に保留する可能性がある。そうなれば、反対派の勢力が元気づいて、最終決定に大きな影響を与える事が可能になるかもしれないと述べている。しかし、そのためには、サンフランシスコ在住の人が原告になる必要がある。しかし、日本政府が及び腰であることと、市民が法によって守られていない現在の状態の下では、原告になる者が出てくるとは思われない。泣き寝入りになる可能性が高い。

6.サンフランシスコ日本総領事館の対応と報告

私は9月末から10月初旬にかけて東京に講演するために行った。そこで、色々な方と意見を交換するうちに、以下のような情報を得た。在サンフランシスコ日本総領事館は、市議会で慰安婦碑を設置する案が認められた件について、以下のような説明を政府乃至自民党幹部に伝えた模様である。

「この件については総領事館としては、各種の人々に呼びかけをして、市議会で五分五分の線までもっていったのですが、公聴会で目良浩一氏を始め在米日本人が元慰安婦を個人攻撃するような発言をしたので、議員たちの心証を害してしまい、議員全員が賛成の方に回り、議案が承認されることになりました。」

この発言は、本当であったとしたら重大である。失敗は、在米日本人のせいであるとして、総領事館がその時までに作り上げてきた議案阻止の努力を台無しにしてしまったというのである。ここには、数多くの欺瞞がある。本当に議会が開かれた時には、五分五分の状況であったのか。本当に、総領事館の努力で、五分五分の状況にまでもっていったのであるか。もしも、在米邦人が、おとなしく地域社会の融和を強調していたら、議案は、否決されていたのか。そして、一番の問題点は、此の解説は自らの失敗を隠蔽するための隠れ蓑ではないかということである。自らの失敗を隠すために、在米邦人の言動を責めるのである。もしこのような報告がされたとすれば、在米邦人は、味方の銃弾に打たれたのである。現場の知識の無い人は、この説明に納得するかもしれない。総領事館は、誰も現場に人を送っていないのである。現場にいた我々は、この議事はすべて厳密に計画された儀式であったと感じている。50人余の蝶の模様の入ったTシャツを着た人々。すべて計画通りに、意見を表明した提案の支持者たち、計画通りに支持者に優しく運んだ議事進行。カンポス議員の熱狂的な提案への支持。どれをとっても、あの議会は、出来上がっていた議事であったと思わざるを得ない。それにもかかわらず、そのような、自己正当化の説明をするのは、真実に反するのみならず、日本の名誉を自らの努力によって、守ろうとする愛国者を無残にも射殺する売国奴なのである。

そこで10月16日に、サンフランシスコに行ったおり在サンフランシスコ日本総領事館を訪れて、市岡晃領事と早川瑞穂領事に会見をした。午前10時20分から11時5分の約45分であった。慰安婦問題は主に早川領事の管轄と見えて、質問に答えたのは、ほとんど早川領事であった。最初の質問は、この慰安婦碑案が市議会に出てきたことに対して、どんな対策を実施しましたかと尋ねたところ、「色々な方と話し合いました」との答えで、どんな方々ですかと尋ねると、「具体的にどなたであるというようなことは、申し上げられません」との回答である。では、どのようにして、議案の承認を防止しようとなさったのですかと尋ねると、「具体的なことは、申し上げられません」と全く防衛線が堅い。

そこで、肝心のことを尋ねる。「東京で数日前に聞いたのですが、総領事館は、この件について各種の努力をして、五分五分の線まで持って行ったのですが、在米日本人が、イ・ヨンス氏の個人攻撃をしたので、議員たちの心証を害した。よってそれまで迷っていた議員も賛成票を投じることになった、というように在サンフランシスコ日本総領事館は自民党の稲田朋美政調会長に報告した、とある筋から聞きましたが、本当でしょうか。」と尋ねたところ、早川領事は、「ニューアンスが違って伝わっています。」との回答を得た。それではどのようなご報告をなされたのですかと尋ねると、「内容については申し上げられません。」との回答である。「でも何らかのご報告をされたのですね。」と更に尋ねると、「その質問に関しては、否定も肯定も致しません。」 との答えが返ってきた。そこで、私は、「では、そのような報告をされたことを否定しないのですね」と念を押した。早川領事は、それに対しても同じ答えをした、「その質問に関しては、否定も肯定も致しません。」そこで、私は、早川領事に、ではこの件に関しては、早川領事は「否定しなかった。」と外部に伝えますと申し上げた。
           
7.今後の運動への教訓

この慰安婦碑設置の問題は、いくつかの大きな意味合いを持っている。

1)第一に、この記念碑運動は、中国系が主導する米国で初めての運動で、今までのような韓国系と異なり、大きな力が背後にあることが実感される。具体的には、中国共産党の直接的な支援があると感じられるので、個々人が対応できる問題ではないと思われる。

2)サンフランシスコにおけるこの運動は、中国が米国に進出する足場を作る最初の手がかりであると思われる。ここで成功すれば、次には、米国内の他の大都市にも進出する。米国連邦政府は、この危険性について未だに認識が無いように思える。

3)日本政府は、在外公館から来る情報を丸々信用しては、ならない。あらゆる情報を総合して、状況を判断すべきである。在外公館は、現場に出ていないし、身勝手な情報しか発信しない。

4)日本政府は、慰安婦問題がすでに外交問題・国際問題になってしまっていることを率直に認めて、対処の方針を決める必要がある。これは単に韓国との問題ではなく、中国も絡んだ重大な問題である。ユネスコにおいても、中韓の共同提案で慰安婦の記憶遺産提案がされるであろうと想定されるから、早急に対策を練る必要がある。対処策を取らないということは、現在の慰安婦の問題の様に、彼らのなすがままになることで、そうすれば、日本は野蛮な、残忍な国で、日本の国の子孫代々が、不当な濡れ衣によって悩まされることになる。また、友好的な関係を維持してきた米国との関係も悪化せざるを得ない。

5)安倍政権は、外交においては、日本としては、珍しく、多数の国々と緊密な関係を作り、成功していると言えるが、中韓との関係に関しては、それなりの努力をしていない。緊急に、具体策を構築して、対応していくことが課題である。

8.結論

アメリカに滞在している日本人の中には、日本人の名誉を保つために、かなりの努力をして中国や韓国系の人々による慰安婦記念碑の設置運動に抵抗しているが、最近では、中国系の大きな組織が表に出てきて、大都市においてこの運動を展開しようとしている。このような運動を、個々の在米日本人が阻止するのは極めて困難である。ことは、20世紀及び今後の日本人の名誉にかかわることであるので、日本政府が今までのような傍観的な態度を改めて、積極的な対抗策を展開していくことが必要不可欠である。この問題は、既に明らかに外交問題になっているので、率直にその重要性を認めて、外交問題として対処すべきである。

上記詳細はPDFでダウンロード出来るようにしています。
10-20-15_SFO総括報告.pdf

サンパウロ講演を振り返って 2

9月のサンパウロでの講演の取材記事が掲載された『ニッケイ新聞』誌面のコピーを掲載いたします。是非ご覧ください。

掲載紙『9月17日』『9月19日』『9月23日』の3紙のコピーです。掲載紙は、PDFファイルでのダウンロードも出来るようにいたしましたので、下記のリンクからダウンロードしてご覧いただけます。

9月17日-ニッケイ新聞 PDF
9月19日-ニッケイ新聞 PDF
9月23日-ニッケイ新聞 PDF

9-17-15-講演会記事

9-19-15-読者投稿

9-23-15-目良代表メッセージ

サンパウロ講演を振り返って 1

SAN1

ブラジル・サンパウロの『JORNAL NIPPAK』(ポルトガル語)に大々的に講演会の記事が掲載されました。
PDFでのダウンロードも出来ますので、是非ご覧になってください。(掲載記事は12面です)

9-24-2015 JORNAL NIPPAK PDF
こちらのPDFのファイルは、13MBと大きなファイルですので、ダウンロードにはお時間が掛かりますので、ご了承ください。

9-24-2015_JORNAL_NIPPAK-12

JORNAL NIPPAKのウェブサイトはこちらから
http://www.portalnikkei.com.br/

【歴史戦】サンフランシスコ慰安婦碑はなぜ採決されたのか?

2015/10/06 チャンネル桜で公開された番組では、今月1日に開催されたシンポジウムの模様もご覧いただけます。

[桜H27/10/6]
【歴史戦】サンフランシスコ慰安婦碑はなぜ採決されたのか?

日本人有志と在米邦人がその阻止に動いた、サンフランシスコ市議会における「慰安婦碑­設置支持決議案」は、結局中韓系移民の圧力に屈する形で採決されてしまった。その阻止­運動の先頭に立ってこられた目良浩一氏と山本優美子氏をお招きし、中華系移民が動いた­事により、ジャパンディスカウント運動からアメリカに対する人口侵略に局面が移行した­深刻性について警告して頂くと共に、市議会での偏見と差別に満ちた議事進行の実態や、­これを逆手に取った日本側の対抗手段などを、今月1日に行われたシンポジウムの模様を­見ながら提言していただきます。

◆チャンネル桜公式HP
http://www.ch-sakura.jp/

◆歴史の真実を求める世界連合会
https://gahtjp.org/

Anti-SLAPP Penalty についてのご報告

8月25日、アンタイスラップ動議の裁判官による承認に伴い、グレンデール側への罰金の支払いに関する裁判が開かれた。

グレンデール側に支払われる弁護士費用は$150,046.58であると裁定された。

その後、原告側は9月16日に$945.76の利子と共に$150,992.34をグレンデール市の弁護を担当しているシドリー・オースティン社に支払った。

原告は、控訴をする予定で、その結果によっては、罰金が返済されることもある。

講演会開催のお知らせ!

~海外では慰安婦問題は、解決していない~
今後、「歴史戦」をいかに戦うべきか

日本国内では、昨年の朝日新聞の誤報の認知と謝罪によって、あたかも慰安婦問題は解決したような雰囲気ですが、海外ではこの問題は全く解決していません。

グレンデールの慰安婦像は、厳として現存し、国連でも最近やっと異なった見解があるということが伝えられたばかりです。

オーストラリアでは、慰安婦像阻止運動が幸いにも成功しましたが、サンフランシスコでは、私有地には抗日記念館が建てられ、市会議員は慰安婦の記念碑を公有地に建立しようとしていますし、シカゴでも同じような動きがあります。

韓国系の団体に中国系の団体が加わって、慰安婦の記念碑を建立しようとしている運動は現在でも進行中です。

【日時】2015年10月1日(木)開場17:00 開会18:00

【場所】憲政記念館講堂 東京都千代田区永田町1-1-1
地下鉄 永田町駅 2番出口 徒歩5分

【登壇者】
講師
ケント・ギルバート(弁護士・評論家)
阿比留 瑠比 (産経新聞 記者)
目良 浩一  (歴史の真実を求める世界連合会 代表)

司会
大高 未貴 (ジャーナリスト)

【参加費】千円
事前申し込み不要。 当日会場に直接お越しください。
会場収容人数 450名

【主催】歴史の真実を求める世界連合会

【後援】産経新聞社

【問い合わせ】
歴史の真実を求める世界連合会
電話: 03-5403-3512
Mail: info@gahtusa.org

GAHT-US CORPORATION
http://gahtjp.org/

20150916-ad

サンフランシスコ市議会委員会への参加者からの報告!

9月17日のサンフランシスコ市議会委員会への参加者からの報告
Report on the San Francisco City Committee Meeting on Building a Comfort Women Memorial on September 17, 2015

GAHT-US代表 目良浩一
Koichi Mera, Ph. D. President, GAHT-US Corporation

 サンフランシスコ市議会は、7月21日の審議の結果、慰安婦記念碑の建設の案件は、エリック・マー市議会議員が委員長である委員会の審議に託して、そこで承認されたならば、全体の市議会にかけて、決定することになった。そこで、9月17日にその委員会が開かれることになり、筆者はその会議に出席した。以下は、その日の会議の模様である。

The Board of Supervisors of the City and the County of San Francisco had decided that the proposal to urge to build a comfort women memorial be discussed at the Committee chaired by Eric Mar, and upon approval by the Committee, the Board will formally review the proposal. The Committee was scheduled to take up the proposal on September 17, and the author attended the meeting. I shall be describing the developments in the meeting.

 前から知らされていたことではあるが、この会議に韓国から元慰安婦であったとするイ・ヨンス女史が入室してきた。彼女は2007年に米国の下院で、日本非難の決議案が上程された時に、一時間以上演説をした女性である。車椅子で入室したが、その後は最前列の椅子に着席した。マー委員長は、まずこの記念碑を建設することの意義と重要性を長々と説明し、日本軍がいかに悪事を大々的に働いたか、その典型的なのが、朝鮮の婦女子の性奴隷化であるとした。そして、そのような逆境にも拘わらず、今まで強い意志をもって生き延びてきた闘士であるとして、イ・ヨンス女史を紹介した。そこで、彼女は10分近く流暢に話し、拍手を浴びた。話し終えると彼女は、頭上に手で丸を作り、カメラマンたちのフラッシュに笑顔で答えた。

As was known in advance, Young Soo Lee came into the room in a wheel chair. She is the person who spoke more than an hour in the chamber of the U.S. House of Representatives when the resolution was proposed accusing Japan in 2007. She sat on the front bench without wheel chair. Chairperson Mar spoke at length explaining the implications and significance of building a comfort women memorial, and referring to atrocities which the Japanese military committed. He told that the enslavement of comfort women was a typical crime. Then, Mr. Mar introduced Young Soo Lee as a brave and determined fighter who survived in such difficult environment. Then, she spoke eloquently for 10 minutes, and received enthusiastic applause. She greeted to the audience by raising both hands upon her head, and received flushed from cameramen with cheers.

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イ・ヨンス証言中 Young Soo Lee Testifying Photo: GAHT

 それから参加者の意思の表明が各人2分間のみという条件で始まった。最初の方は、委員長の指名で、委員長になじみのある人が続けて提案を支持する発言をした。15人目位にイグナシアス・ディングが、発言した。彼は、4月に安倍総理が訪米した際に、総理が「戦時中に人身売買(human trafficking) があり女性が犠牲になったことに胸が痛む」と語ったことを引用して、日本政府は慰安婦問題で日本が悪事を働いたことを認めていると宣言した。安倍総理は、日本軍が行ったとは言っていないのであるが、彼はそう解釈したのである。

After this, visitors started to express their own views, each given two minutes. First dozen or so speakers were nominated by Mr. Mar, being familiar to Chair, and expressed support to the proposal. Ignasius Ding, Executive Vice President of the Global Alliance for Preserving the History of WWII in Asia, was about the 15th speaker. He referred to Prime Minister Abe’s remark at Harvard University in April, and stated that the government of Japan admitted the wrongdoing of the Japanese military when Abe stated that his heart felt serious pain when he thought about those women sacrificed by human trafficking during the war. Even though Mr. Abe did not mention who did the human trafficking, Mr. Ding interpreted that the one who did the human trafficking was the Japanese military.

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イグナシアス・ディング証言中 Ignasius Ding Testifying Photo: SFGov

 その数人後で、私の名前が呼ばれた。その直前は、やはりロスアンジェルスから来た日本の女性で、力強く韓国や日本でなくて、米国に建てられることの非合理性を指摘した。そのあとで、私は、そこで言われている慰安婦説が、史実に沿わないことを説いた。第一に、20万人説が、虚偽であること、第二に、強制連行があったとすることが真実でないこと、更に彼らが性奴隷であったことが真実でないと述べた。更に、具体例をあげますとして、「本日ここで証言されたイ・ヨンスさんは、サンフランシスコ州立大学の人類学教授、C. サラ・ソー氏の2008年の『慰安婦』と称する図書によりますと、ある日の早朝に友だちと共に家をこっそり出て、慰安婦の斡旋員のところへ行き、」と述べた時に議長のマー氏が制止した。

マー氏: イさんは、そんなことは言っていない。君は、彼女が嘘つきだというのか。

目良: 最後まで言わしてください。
マー氏: 彼女はそんなことは言っていない。

目良: 私は、彼女が言ったことを繰り返すことはしません。この本に書いてあることを述べているのです。この本を読んでください。続けます。

「そこで赤いドレスと革靴をもらって大いに喜んだ」とあります。これがこの本に書いてあることです。

さて、この件の一般的な性格について疑問を述べます。慰安婦問題は人権問題であると言われています。しかし、慰安婦像の推進者は、このような絵を掲げています。これはグレンデールの際に取った写真ですが、このような活動で人権は守れるのでしょうか。以上です。

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目良が提示した推進者のプラカード Photo Shown by Mera Photo: GAHT

Several persons after Mr. Ding, my name was called. Immediately before me, a Japanese lady from Los Angeles stressed firmly the irrationality of placing such a memorial in the U.S. instead of in Korea or Japan. My remarks are as follows:
Thank you very much, Mr. Mar. I would like to convey is that the comfort women stories generally propagated in this country are totally false. They’re not true. For example, 200,000 people, that’s not true. Forcible recruitment, that was not true. And the sex slaves, that is not true. So, one example I would like to give today is that there’s a book written by C. Sarah Soh, Professor of
Anthropology in this San Francisco State University. She wrote a book called “The Comfort Women.” Then she referred to the lady who spoke earlier, Young Soo Lee. The book states she said In her early testimony “In an early morning of 1944, she sneaked out of her home with a friend and went to a comfort women recruiter,”

Mr. Mar interrupted with this remark “That’s not what she said. Are you calling her a liar?”

Mera replied “Let me finish.”

Mr. Mar remarked again “That’s not what she said.”

Mera continued with the following: “I’m saying what is written in this book, I’m not repeating what she said. Please read this book.
Then she was given a pair of shoes and red dress. She was delighted.
So that is what this book says. It’s written in this book. So, ex-comfort women’s testimonies are not reliable.
Now, let me give you a more general talk about this issue. The principal issue is said to be human rights. Some of the human rights proponents are showing this picture. Please see it.
This was taken in Glendale. So I do not believe any of this kind of activity is promoting for women’s human rights. Thank you.

 その後、数多くの人々が意見を述べた。反対派の中には、ソー教授の図書に言及して、イ・ヨンス氏の証言に疑問を呈した人が二人いた。記録によると賛成の意見を述べたのが50人、反対の意見を述べたのが29人であったとされている。今回は、7月21日の時とは異なり、サンフランシスコに居住している日本人とその配偶者による反対意見がかなり出された。これらの人には、以前にはほとんど情報が伝達されていなく、やっと最近になって情報が与えられて、目覚めた方が多いようであった。

After my presentation, many more people presented their views. Among those who opposed, two more persons referred to Professor Soh’s book questioning the credibility of Ms. Lee’s testimony. According to the records, 50 persons expressed support, and 29 persons did opposition. This time was different from July 21st. Many more Japanese residents and their spouses in San Francisco attended the meeting this time. They did not get information about this issue before, and only recently they have obtained information on this issue.

 しかし、注目すべきは、中国系の人たちの統率力である。彼らは、韓国系の人たちと協力して、統制のとれた動きを示していた。賛成派の多くは黒の地に黄色い蝶の図案が入ったTシャツを着て、指揮者の指示に従って動いていた。その中には、日系のアメリカ人もかなり加わっていて、日中韓が共同して、慰安婦の記念碑設置に動いているとする印象を与えるように画策されていた。日本名を名乗りながら、設置賛成意見を展開するのを聞くのはかなり不愉快であった。その典型例は、キャッシー・マサオカであった。グレンデールでも賛成意見を述べた女性である。

Among others, we need to pay attention to the organizational power of the Chinese/Chinese Americans. They worked closely and in harmony with Korean participants. Many of the supporters wore a black T-shirt with a yellow butterfly in front, and moved around according to the direction given by leaders. Among them, there were several Japanese Americans, and they tried to create an atmosphere of coalition among Chinese, Koreans and Japanese. It was not pleasant to see persons with Japanese family names supporting the proposal. One typical example was Cathy Masaoka, who also supported the proposal in Glendale.

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会議場 Board Room Photo: GAHT

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カンポス議員 Supvr Campos Photo: SFGov

 参加者による意見の表明は4時間近く続いたが(私は時間の都合で途中退席したが)、それが終了した際に、本人の証言が目前で否定されたイ女史を不憫に思った議員の一人、カンポス氏が、彼女の証言に深刻な疑問を投げかけた人々に対して、発言を始めた。「この聴衆の中に史実を否定する人が幾人かいた。私は、彼女に対して偉大な愛と敬意をもって、次のように声明をする。恥を知れ、恥を知れ、実際に起こったことを否定することの恥を知れ、恥を知れ、女性に対する個人的な攻撃をする恥を知れ」と叫び、イ女史を抱擁し、彼女の頬に口づけをした。それで、賛成派の意気は最高に達した。提案は、修正案を退け、原案のまま承認された。

When the visitors completed their statements in nearly four hours, Mr. David Campos, one of the Committee members, compassioned with Ms. Lee whose testimony was seriously questioned, stood up and spoke loudly:
“I do want to address some of the members of the audience that came here and spoke to deny what happened. I say this with a great deal of love and respect, but
Shame on you. Shame on you. Shame on you for denying what happened and shame on you for the personal attacks on this woman, Grandma Lee who had the courage to fly from another side of the world to come here and speak her truth. You know, it is amazing and by the way, I hope that the Japanese government is not behind some of these denials.”
Then, he approached her, embraced her, and kissed on her cheek. Supporters felt supreme. The proposal, although amendments were proposed, was approved without any difficulty.

 委員会での承認を受けて、提案は9月22日の定例本会議で承認されることになるであろうが、この委員会に出席した経験は、慰安婦碑の設立に対して反対している我々に幾つかの教訓を与えてくれた。第一には、人口の60%が中国系であると言われているサンフランシスコで、組織化された中国系の人々と戦うことの困難さである。第二には、真実がどうであろうと、目的に向かって突進する市議会議員を説得することの困難さであり、第三は、反対運動を成功させるためには、かなりの組織力が必要であることを痛感した。その結果、法的な解決方法が残された道になることを確信した。其れでも尚且つ、一般の人々の慰安婦に対する理解を深めることによって、判事の決定に影響を与えることができるであろう。そして、今我々が戦っている方法こそ与えられた条件の中では最善のものであると思う。

Receiving the passage of the proposal by the Committee, the proposal will be officially approved by the City at their September 22nd Board meeting. The experience of observing this Committee meeting gave us some lessons. First, it is very difficult to block the proposal where some 60% of the population is Chinese or Chinese American. Second, regardless of the historical facts are unfavorable to them, City Supervisors proceed as they wish to proceed, and third, to have a successful opposition movement, a fairly strong organization is necessary. As a result, these lessons indicate that the legal approach appears to be the only possible way. In addition, by spreading historical knowledge based on facts to the general public in the U.S., judges at the court would be able to make correct decisions more often than otherwise. Thus, I believe that what we are undertaking is the best approach under the circumstances.

*上記の報告は以下のPDFおよびワードファイルでダウンロードが出来るようにいたしました。

  サンフランシスコ市議会委員会公聴会への参加報告
  *PDFファイル
  *ワードファイル

ニッケイ新聞 JORNAL 主催の講演会が大盛況!!

目良代表 ブラジル講演会 9月12日

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「日本は開戦に追い込まれた」
=ニッケイ新聞 JORNAL 主催 目良浩一氏講演会=

「東京裁判はやり直しが必要です。その時にはルーズベルトのような人たちも呼び出して、裁判すべきだと思います」―。アメリカで慰安婦像撤去裁判などの活動を行う「歴史の真実を求める世界連合会」の代表、目良浩一氏(81)による講演会『日本の近代史を正しく理解しよう』が12日午後、広島文化センターで行われた。約200人の来場者で満場となった会場は熱気に包まれた。目良さんの著書『マッカーサーの呪いから目覚めよ日本人!』(桜の花出版、2012年)のポルトガル語版『A Verdade sobre a Guerra do Pacifico』(ニッケイ新聞社刊)の刊行を記念したもので、販売も行われた。本書は本紙、日系書店でも販売中(50レアル)。

….続きは、ニッケイ新聞 JORNALへ
リンクはこちらから:http://www.nikkeyshimbun.jp/2015/150917-71colonia.html

こちらの記事も是非ご覧ください。

2015年8月22日
太平洋戦争の真実に目を向けよ=目良浩一=(1)=著書を本紙が翻訳出版=来月に刊行記念講演会も

2015年8月25日
太平洋戦争の真実に目を向けよ=目良浩一=(2)=ジャパン・ナッシングへの危惧=米国で展開される反日運動

2015年8月27日
太平洋戦争の真実に目を向けよ=目良浩一=(3)=未来永劫極めて不利な状況へ=米国人の習性と戦争の後始末

2015年8月28日
太平洋戦争の真実に目を向けよ=目良浩一=(4)=不当な根拠による主張=犯罪国民の子孫ではない

2015年8月29日
太平洋戦争の真実に目を向けよ=目良浩一=(5)=「日本は自衛の為に戦った」=マッカーサーも認めた事実

2015年9月1日
太平洋戦争の真実に目を向けよ=目良浩一=(6)=日本の若者は最も不幸になる=過去を直視し、自虐史観と決別を

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米国における100名以上の日本関係の学者へ書籍を送付!

米国における日本関係の学者100名以上、米国内日本総領事館、そしてサンフランシスコ市議11名に対し書籍を送付いたしました。

*今回は目良代表と呉善花氏の著作に加え、産経新聞社の『History Wars』も同時に送付いたしました。

『History Wars』(英日対訳版)
Japan—False Indictment of the Century
歴史戦 世紀の冤罪はなぜ起きたか
History_wars

『歴史戦』
朝日新聞が世界にまいた「慰安婦」の嘘を討つ
rekishisen

*ご興味がございましたら、AMAZONのリンク先を掲載いたしておりますので、是非ご一読ください。

◎ 米国AMAZONはこちらのリンクから:History Wars Japan-False Indictment of the Century
◎ 日本のAMAZONはこちらのリンクから:『歴史戦』世紀の冤罪はなぜ起きたか

◎ AMAZONはこちらのリンクから:歴史戦 朝日新聞が世界にまいた「慰安婦」の嘘を討つ (産経セレクト)

カリフォルニア州裁判所における裁判の現況【2015年8月21日】

 グレンデール市の慰安婦像の撤去を求める裁判は、最初米国の連邦地方裁判所に提訴して2014年の2月に始められた。訴因は、(1)地方自治体であるグレンデール市が、慰安婦問題という外交上の問題についてその立場を、慰安婦像を建立することによって表明することは、外交につての権限をすべて連邦政府に付与した米国の憲法に違反するということ(2)慰安婦像に付随している文字盤に記載されている文面は、市議会で承認されてないものであるので、それを公園に公示することは、市の条例に違反するということであった。この訴訟は同年の8月に連邦地方裁判所の担当判事であるアンダーソンが判決を下した。その判決は、(1)に関しては、原告の主張していることには直接に触れず、たとえそのような憲法違反があったとしても、原告にはそれを要求する資格がないとするものでした。そして、(2)に関しては、連邦裁判所の扱うべき事項ではないので、州の裁判所に提訴すべきであるというものでした。

 そこで、2014年9月に州の裁判所に提訴し、上記の(2)の他に、 (1)の憲法違反も加え、更に州の憲法で保障されたすべての住民が平等に保護されなければならないとする条項も入れました。これに対して、グレンデール側は、この訴訟は州法で決められている濫訴防止のためのアンタイ・スラップ動議を持ち出してきました。この法律は、名誉棄損などで個人が気軽に組織などを訴えて、経済的な負担をかけることを防止するために設けられたものですが、公共の利益のために行う訴訟などには、適応されないなどの例外があります。グレンデール市は、この動議を持ち出して対抗してきました。

 2015年2月23日に、リンフィールド判事の下で、ロスアンジェルスで公判が開かれました。この判事は、公判の直前に予備的な判決文を原告と被告に手渡す習慣があります。その判決文は以下の文章で始まります。
“There can be no legitimate dispute that the Japanese government engaged in a horrendous crimes against the Comfort Women prior to and during World War II. The United States House of Representatives – and even the Japanese government itself – has recognized these abuses.” 
(日本政府が、第二次世界大戦中及びそれ以前に慰安婦に対して残忍な犯罪を犯したことに対しては、その正当性を疑う余地は無い。米国の下院もそれを認知しているし、日本政府自体も認めている)

 このような、記述には深刻な問題があります。第一に、我々の訴えていることは、連邦政府が独占的に行う外交問題を市が関与するには、米国の憲法違反であるという訴訟に対して、その記述は全く関係のないことであるにも関わらず、判決内容にかなりの影響を及ぼす危険性があることです。悪人を助けようとしている者は、悪人に決まっているとする考えです。第二には、その判断がまったく訴訟自体に関係がないことであるにも関わらず、関係があるかのように振舞っていることです。

 法廷で我々の弁護士は、厳しく判事に迫りました。しかし、被告のアンタイ・スラップ動議が認められました。そして、我々がグレンデール側のこの件に関する弁護士費用を支払うこととなりました。支払い額は、8月25日の公判で決まります。

 しかし、これで我々は、撤退するわけにはいきません。この秋に始まる連邦裁判所での控訴もあります。更に、州の裁判所の決定には、大きな疑問がいくつかあります。そのために、我々は控訴します。リンフィールド判事の法律の適用に問題があります。更に、彼は明らかに偏向しているし、禁止されていることを行いました。判事は、原告と被告が提出する情報だけを基にして、判断すべきなのですが、彼は自ら調査を行いました。これらの材料を基に、州の上級裁判所に控訴して、戦いを続けます。

2015年8月21日

GAHT-US 
代表 目良 浩一

安倍談話について

 8月14日に、待望の「安倍談話」が発表された。よく四方に目配りが聞いた練れた声明であるとの評価もあるが、米国から見た私の感想は、「失望」の一語に尽きる。

 先ず、何のための新しい談話であるかという問題である。今回、「村山談話」、「小泉談話」に次いで談話を出すならば、何らかの新しい観点が必要である。それは、広い世界史的な観点からの観察かもしれないし、以前の敵国との和解の言葉であるかもしれないが、それは、既に4月にワシントンで表明したものであり、新しいことではない。

 より大きな問題は、この声明で、日本の総理大臣が公式に「進むべき進路を誤り、戦争への道を進んでいきました」として、日本政府の意思決定の過誤を認め、自ら戦争を仕掛けたと述べていることである。そして、外交的、経済的な行き詰まりを「力の行使」によって解決しようとしたと述べている点も、大きな誤りです。1920年代末からの世界的経済恐慌によってもたらされた世界の列強によるブロック経済化で日本は孤立化し、さらにソ連を盟主とした共産党の活躍で、日本は中国国民党との(間接的には中国共産党との)戦いに誘引されたこと、そしてドイツが英仏を攻撃し始めるや否や、米国はヨーロッパの戦争に参戦するために、同盟国の日本に圧力をかけて、降服か攻撃かを選ばせたという事実をすべて無視する歴史認識を表明したことになります。このような総理談話が再度出たことによって、未来永劫、日本は侵略国家であったと海外から言われることは間違いありません。総理は、「侵略」という言葉を直接的及び意識的に使っていないようですが、文脈の流れからそのように判断されます。玉虫色の表現で通用するのは、国内だけです。

 また、慰安婦については直接的には触れてはいませんが、「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた」と述べて、暗に日本軍が女性の人権を蹂躙したことを認めています。まったく不必要な承認です。

 安倍総理が、この談話を発表すると報道されて以来、韓国、中国をはじめとして、米国からも厳しい注文が付けられたことは、承知しています。しかし、日本は主権国家です。自国内での知識、判断力、海外から得られた知識などを総合し、更に今後の日本国民の尊厳と繁栄のために効果のある「安倍談話」を期待していたのですが、この声明は、国民を更に自虐史観に追いやるものになってしまったと感じます。

目良浩一
GAHT 代表